みなさん矯正治療楽しんでますか?
こんにちは。稲沢 下津宮西町の稲沢矯正歯科クリニック、院長の吉廻(よしざこ)です。
当院では、4歳~未成年のお子さまを対象にした小児矯正を行っています。
開院以来、当院にお寄せいただくご相談は、お子さまの歯並びやあごの形に関するものが多いです。「保護者様のお子さまに対する歯の意識」が年々、高くなってきている、と感じています。
今回は、当院で行っている「子どもの矯正治療(小児矯正)」についてのお話をさせていただきます。
目次
■子どもの矯正治療の特徴
子どもと大人の矯正治療の違い
子どもの矯正治療は大人の矯正治療と異なります。子どもの矯正治療では、主に「あごの成長を利用した矯正治療」を行います。大人の矯正のような固定式の矯正装置は基本的に使いません(※)。
(※)小児矯正でも歯並びの乱れが大きい場合には
固定式の矯正装置を使う場合があります。
小児矯正は年齢別に期間を分けます
小児矯正では、子どもの年齢によって期間を分けて治療を行います。
・1期治療・・・5歳~12歳まで
・2期治療・・・13歳~成人まで
・1期治療の治療期間・・・平均10か月~2年程度(※)
・2期治療の治療期間・・・平均2年~3年程度(※)
1期治療は乳歯から永久歯に生え変わる時期に行います。2期治療は永久歯が生えそろった13歳以降に行います。
(※)平均の治療期間です。あごの成長度合いや歯並びによっては
これ以上の期間がかかることがあります。
それぞれの治療で行うこと
小児矯正の1期治療(5歳~12歳まで)では、子どものあごの正しい成長をうながす治療(咬合誘導)を行います。咬合誘導で使用するのは主に拡大床など、取り外し式の矯正装置です(※)。
1期治療の年齢、特に4歳~8歳ごろの子どもはあごが未成熟です。あごが未成熟でやわらかい時期に、咬合誘導によってあごの正しい成長をうながしてあげることで噛み合わせが改善されます。あごを正しく成長させ、あごの骨格を広げることで永久歯が生えてくるスペースが確保され、将来の美しい歯並びにつながります。
(※)小児矯正でも歯並びの乱れが大きい場合には
固定式の矯正装置を使う場合があります。
小児矯正の2期治療(13歳~成人まで)では、大人と同じようにブラケット装置やマウスピースを使って歯並びを整える矯正を行います。13歳以上になるとあごの骨格がほぼ固まってくるため、あごの成長を利用する咬合誘導はむずかしくなります。
小児矯正で使用する矯正装置
小児矯正では、以下の矯正装置で治療を行います。
1期治療で使用する矯正装置(取り外し式)・・・拡大床(あごの骨を拡げる装置)、FKO、リップバンパーなど
2期治療で使用する矯正装置(固定式or取り外し式)・・・ブラケット装置、マウスピース(インビザライン)など
1期治療では取り外し式の矯正装置を使い、就寝中などの時間を利用して1日8時間~12時間程度、お子さまに矯正装置を装着していただきます。2期治療は大人と同じように固定式の矯正装置(ブラケット装置)や取り外し式のマウスピース(インビザライン)を使って矯正を行います。
■子どもの矯正治療(1期・2期)のメリット
子どものうちにしかできない矯正があります
当院の矯正相談では、保護者様から「子どものうちに矯正をやっておいた方が良いですか?」というご質問を多くいただきます。このご質問に対する答えは、シンプルに「YES!」です。子どものうちに行う矯正には以下のようなたくさんのメリットがあります。
[子どもの矯正治療(1期・2期)のメリット]
〇あごの成長を利用した矯正ができる(1期)
子どもはからだが成長段階にあります。小児矯正では成長途中にある子どものあごの成長を利用した矯正治療を行えます。
〇代謝が高く、歯を動かしやすい(1期・2期)
子どもはからだの代謝力が高く、歯を動かしやすいです。すべての年齢を通じ、矯正でいちばん歯を動かしやすいのは10代前半です。矯正はあごの骨の炎症反応(歯に力をかけてあごの骨を溶かし、骨を作る)を利用して歯を動かします。子どもは代謝力が高く、あごの骨が溶ける・骨が作られる速度が速いため、歯が早く動きます。
〇顔全体のバランスを整えやすい(1期)
小児矯正の1期治療(5歳~12歳まで)ではあごの正しい成長をうながす治療を行います。あごが正しく成長することで歯が綺麗に並ぶスペースが確保されます。あごの正しい成長によってあごの位置が改善され、口元や顔全体のバランスも整いやすくなります。
〇後戻りが少ない(1期)
後戻りとは、整えた歯並びがもとの位置にもどってしまう現象です。小児矯正は大人の矯正と比べると後戻りが少ないです。小児矯正では子供のあごの成長を利用した治療を行うため、歯並びがもとの位置にもどろうとする力は弱くなります。
〇歯を抜く可能性が減る(1期)
大人の矯正治療では歯を動かすスペースを確保するために抜歯を行うことが多いです。小児矯正ではあごの成長を利用してあごの骨格を広げる治療を行います。あごの骨格が広がることで歯が綺麗に並ぶスペースが確保されるため、矯正で抜歯をする可能性が少なくなります。
〇大人と比べて矯正時の痛みが少ない(1期・2期)
小児矯正の1期治療では取り外し式の矯正装置を使って治療を行います。固定式の矯正装置のように強い力を歯にかけないため、大人の矯正と比べると矯正期間中に感じる痛みは少なくなります(※)。
2期治療は大人と同じように固定式の矯正装置を使って歯並びを整えますが、10代の子どもは歯が動きやすいため、大人と比べると矯正期間中に感じる痛みは比較的少なくなります(※)。
(※)矯正治療で感じる痛みは個人差があります。
子どもでも歯に強い痛みを感じるケースもあります。
■子どもの矯正治療(1期・2期)のデメリット
小児矯正にはデメリットもあります
上記のようにメリットが多い小児矯正ですが、小児矯正にはデメリットもあります。
[子どもの矯正治療(1期・2期)のデメリット]
●お子さまの強い意思がないと続けられない(1期・2期)
1期治療では、取り外し式の矯正装置を1日8時間~12時間程度、お子さまに毎日、装着していただきます。小さなお子さまにとって、お口の中に長い時間、矯正装置が入っているのはつらいものです。
また、小児矯正でも歯並びの乱れが大きい場合や2期治療では固定式のブラケット装置や透明のマウスピース(インビザライン)を使った治療を行います。目立ちやすいブラケット装置(※)やマウスピースをつけていることでほかの子から見た目をいじられてしまう場合もあります。お子さまによっては途中で矯正装置をつけるのをやめてしまい、矯正を最後まで行えないケースも少なくありません。
小児矯正を最後まで続けるには、治療を受けるお子さまが自分の歯並びに対する高い意識と強い意思(治療を続ける意思)を持つことが必須となります。
(※)歯の裏側につけるリンガル矯正(裏側矯正)
であれば目立ちにくくなります。
〇治療が長引いてしまうことがある
1期治療の平均期間は10か月~2年程度です。2期治療の平均期間は2年~3年程度となります。ただし、あごの成長度合いや歯並びの乱れ方によっては、上記よりも治療期間が長くなる場合があります。
小児矯正で治療期間が長引くケースとしては、以下ような例があります。
「3歳ごろから取り外し式のマウスピースを使った治療を2年間続けたものの、矯正効果があまり見られなかったので、6歳になってから拡大床を使いさらに2年間治療を行った。あごの骨格は改善されたものの、歯並びの乱れが大きかったため、13歳以降になって固定式のワイヤーを使って3年間の治療を行った」
上記のケースは合計で7年間の治療期間となります。もちろん、すべての小児矯正がこのように長引くわけではありません。
小児矯正は取り外し式の矯正装置を使います。矯正効果を最大限にひきだすには定められた1日の装着時間を守る必要があります。もし、お子さまが装着時間を守らなかった場合は矯正効果が半減したり、もしくは、まったく矯正効果が見られないこともあります。矯正効果が見られなければ矯正の延長が必要になり、治療期間が長引きます。このような「お子さまが矯正治療の決まり(ルール)を守れない」という要素も、小児矯正の治療期間が長引いてしまう原因のひとつです。
【それぞれのお子さまに適した矯正方法をご提案します】
子どものうちに行う小児矯正にはたくさんのメリットがあります。しかし、当院は小児矯正は早ければ早いほどイイ、という治療方針ではありません。
あまり早い段階(2、3歳ごろ)で矯正を始めてもお子さまが矯正装置の装着時間を守れず、結果、治療期間が無駄に長引いてしまうケースがあります。治療期間が長引けば費用も増え、経済的な負担が大きくなってしまいます。
稲沢矯正歯科クリニックでは、お子さまのあごの骨の状態や歯並びを歯科医師が確認した上で、それぞれのお子さまに適した治療開始年齢と治療方法をご提案させていただきます。
お子さまの歯並びや悪いクセ(指しゃぶり、頬づえ、口呼吸など)でお困りの方は、矯正相談にてお気軽にご相談ください。