みなさん矯正治療楽しんでますか?
こんにちは。稲沢 下津宮西町の稲沢矯正歯科クリニック、院長の吉廻 守(よしざこ まもる)です。
私たちにとって当たり前の存在である舌ですが、非常に重要な役割を果たしています。
今回は舌の重要性について説明いたします。
目次
1.咀嚼・嚥下機能
1つ目は、「咀嚼(そしゃく)・嚥下機能(えんげきのう)」です。
食べ物を口に入れると、まず前歯で噛み切り、舌で受け取ります。その後、すぐに食べ物を奥歯の上に運びます。奥歯で嚙み始めると、食べ物が落ちていかないように舌全体で支えます。
嚥下とは、食べ物を取り込み、「飲み込む」動作のことです。咀嚼され、食べ物が飲み込める形になると、舌先が上顎の天井に接するようにして喉に送り込みます。こうして食べ物を食べることができます。
また、奥歯で効率的に噛むために、歯と歯の間に食べ物を運んで、何度も噛むことにより、唾液が分泌されます。このように食べ物と唾液を混ぜ合わせたりするのも、舌の役割の1つです。
2.構音機能
2つ目は、「音声機能」です。
これは簡単に言うと、音を出すこと(話すこと)です。 言葉を話すためには、まず、脳から指令を送ります。音を作り出す器官はその指令を受けると、肺から息を出し、喉仏にある声帯を震わせて音を作ります。最後に舌の形を変えたり、口を動かしたりして、微調整することで、思い通りの声を作ります。この過程を「音声(発音)」と呼びます。
舌の動きがあるからこそ、話したり歌ったりする時に、異なった音を出し、発声することができるのです。
3.味覚機能
3つ目は、「味覚機能」です。
これは、食べ物の味を感じることです。 人が感じる味覚は、舌に存在する味蕾(みらい)という、味細胞(みさいぼう)が集まった器官で味を感じ取り、神経細胞を介して脳に伝達されています。そして脳が「甘い」「苦い」などと味を判断しているのです。
味蕾は舌の上だけではなく、軟口蓋(上あごの後方)や咽頭部、食道にも広く分布しているため、飲み込むときにも味を感じているのです。
味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味に区分され、甘味は舌先で、塩味は舌先の外側で、酸味は舌の奥のほうの外側で感じやすいとされています。苦味は、舌根との境目あたり、さらには舌根の部分で感じ取られます。
しかし、近年では、舌の部位による感受性に違いは少ないとも考えられているようです。
以上のように、美味しく食べて楽しく会話するには、この「咀嚼・嚥下機能」「構音機能」「味覚機能」の3つの舌の働きが大きく関わっています。
4.歯並びの形成
4つ目のポイントは、「歯並びの形成」です。
驚かれるかもしれませんが、歯並びを整えるためには、舌が欠かせません。歯並びには、舌が内側からかかる圧力と、頬や唇が外側からかかる圧力が関与しています。この両者のバランスが整った位置に歯が並びます。
つまり、舌が片方に偏っていたり、特定の歯を押してしまうなどの癖(舌癖)があると、歯並びが乱れてしまいます。歯並びを乱さないためには、普段から舌の位置(スポット)を意識することが重要です。
まずは、自分の舌の位置を確認してみましょう。舌が歯に当たっていたり、どこにも当たっていなかったりするのは、正しい状態ではありません。また、舌の先端だけが上顎に触れているのも、正しい状態ではありません。
舌の適切な位置は、上あごの裏側に舌の先端を置き、舌全体が上あごに接している状態です。上あごの前歯の裏側の根元から喉の奥に舌を滑らせると、わずかにくぼんだ部分があることに気づくでしょう。この部分を「スポット」と呼びます。舌をこのスポットに収め、舌全体を上あごに密着させることが、正しい状態です。
舌が正しい位置にあると、歯並びだけでなく、体全体に良い影響があります。鼻呼吸がしやすくなるため、呼吸とともに空気中のウイルスや細菌を取り込みにくくなり、感染予防につながります。さらに、舌や周囲の筋肉が鍛えられることで、顔や首のリフトアップ効果も期待できます。
5.舌を正しい位置でキープしましょう
今回は舌の機能と役割についてお話ししました。舌を正しい位置で保とうとすると、非常に疲れるという方もいらっしゃいます。
まず正しい舌の位置を知ることが重要です。自分自身がどうなのかを観察したり、意識したりする時間を少し取ってみることから始めていただければ良いと思います。