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歯が溶ける!酸蝕症について

2024年6月20日


みなさん矯正治療楽しんでますか?

こんにちは。稲沢 下津宮西町の稲沢矯正歯科クリニック、院長の吉廻 守(よしざこ まもる)です。

近年、残存歯の増加に伴い、むし歯や歯周病に続く第三の歯の疾患として「酸蝕症」が注目を浴びています。
歯は予想以上に酸に弱く、実は私たちが「すっぱい」と感じる酸性度の高い飲食物に長く触れていると、非常に簡単に溶けてしまうのです。
今回はそんな「酸蝕症」についてを説明していきます。
 

目次

1.酸性の食べ物で歯が溶ける?

エナメル質は、人体で最も硬い組織であり、歯の表面を覆っています。しかし、強い酸に触れると化学反応が起こり、エナメル質は分解されて溶けてしまいます。 エナメル質が溶けると、その下の象牙質が露出し、食べ物を噛んだり歯を磨いたりする摩擦によって徐々に摩耗してしまいます。
この状態を放置すると、冷たいものがしみる知覚過敏症やむし歯の急速な進行など、さまざまな問題が引き起こされます。
この現象は「歯の酸蝕」と呼ばれ、歯が病的に損傷する状態を「酸蝕症」または「歯牙酸蝕症」と言います。
例えば、1日に2回、歯が酸に触れる機会があり、口をすすがずにいると、エナメル質は酸蝕症のリスクにさらされます。
 


2.酸蝕症の特徴について

酸蝕症にかかった歯には、以下のような特徴が見られます。


1. 知覚過敏を起こし、冷たいものがしみやすくなる
2. 歯全体が丸みを帯びる
3. エナメル質が濁って見えたり、内部の象牙質が透けて見える
4. 前歯の表面が滑らかでツヤがある
5. 前歯の先端部分が透けており、ヒビが入ったり、欠けたり、ザラついたりする
6. 酸蝕により奥歯のすり減りが加速し、深い溝やへこみが見られる
 


3.日本人の4人に1人は酸蝕症

現在、酸蝕症はむし歯や歯周病に続く第三の歯の疾患と考えられています。国内で15〜89歳の男女1,108名を対象に調査した結果、酸蝕症の罹患率は26.1%であり、国民のおよそ4人に1人に上ることがわかりました(2014年発表)。
欧州7カ国で15〜35才の男女3,187名を対象に調査した結果をみると、酸蝕症の罹患率は29.4%であり、およそ3人に1人と日本人より高率になっています(2013年発表)。
日本で酸蝕症の罹患率が増加している背景には、欧米型の食生活の定着に加え、健康志向から後述するような酸性度の高い飲食物などを好んで摂る方々が増えていることが挙げられます。
 


4.酸蝕症の原因

酸蝕症の原因は、体内から口の中に酸が出てくることによる内因性のものと、酸性度の強い飲食物を口にするなど外因性のものの2つに分けられます。内因性の病因としては、胃食道逆流症(GERD)、摂食障害(過食症、拒食嘔吐)、アルコール依存症などが指摘されています。外因性の病因としては、酸性度の高い飲食物や医薬品、サプリメントなどの過剰摂取が考えられます。具体的には、次のような飲食物や医薬品、サプリメントが挙げられます。


・みかんやグレープフルーツ、レモンなどの柑橘系の果物や果汁から作られたジュース、梅干し
・ビタミンCなどを含む酸性のビタミン剤やサプリメント
・アスピリンなどの酸性の薬剤
・炭酸飲料、黒酢、栄養ドリンク、ワイン、スポーツ飲料
 


5.酸蝕症を防ぐための3つのポイント

私たちの口の中は、通常は中性のpH7前後に保たれていますが、飲食物や胃酸の影響で酸性度が高くなると、歯は溶けやすくなります。しかし、酸性の飲食物は健康に良いものも多く、完全に控えることはできません。
酸蝕症を防ぐためには、以下の対策が必要です。


1. 酸性の飲食物を摂った後は、口を水でゆすぐ。
2. 酸性飲食物を長時間摂取しないようにする。
3. 寝る前には酸性の飲食物を控える。


これらの対策を実施することで、酸蝕症を予防することができます。


就寝中は唾液の分泌が少なくなり、口の中のpHが中性に戻りにくくなります。特にいびきをかく癖があると、口が乾いて酸性の溶液が残りやすくなるのです。
また、酸蝕症の進行を防ぐためには、酸性の飲食物を多量に摂った直後には歯磨きをしないことも意外に大切なポイントです。先述のように、酸性の飲食物をとった直後はエナメル質が柔らかくなっているため、30分程度時間を置くか、お水で洗口してから歯磨きをするようにしましょう。
歯は長年の酷使によって年齢を重ねるほど傷み、酸蝕の影響を受けやすくなっています。なかでも口が乾きやすいという方は、歯を守る唾液の力が十分に働かなくなり、酸蝕症を発症する可能性が高くなると考えられます。


酸蝕症は、むし歯や歯周病に続く第三の歯の疾患であり、現代の生活習慣病です。したがって、定期的に歯科医院を受診し、歯の健康状態をチェックしてもらいましょう。