こんにちは。稲沢 下津宮西町の稲沢矯正歯科クリニック、院長の吉廻 守(よしざこ まもる)です。
矯正治療が保険適用外なのはなぜ?
歯並びや噛み合わせが気になったとき、まず思い浮かぶのが「歯列矯正」ではないでしょうか。
ただ、気になるのが「費用」。矯正は決して安い治療ではないため、「できれば保険が使えたらいいのに」と思う方も多いはずです。
しかし、実際のところ、矯正治療の多くは健康保険の対象外(自由診療)となっています。
では、なぜ虫歯や歯周病の治療は保険が使えるのに、歯列矯正は保険がきかないのでしょうか?
今回はその理由を、わかりやすく解説します。
目次
■ まず知っておきたい「日本の医療保険制度」
日本では「国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)」が採用されています。
これは、すべての国民がなんらかの公的医療保険に加入し、保険料を出し合うことで、医療費の負担を軽くする仕組みです。
病院にかかると、通常は医療費の3割を自己負担し、残りの7割を国や保険でまかなっています。
ただし、保険が使えるのは“病気やけがの治療”と定められています。
つまり、「病気ではない」「命に関わらない」ものについては、保険の対象外になるというルールです。
■ 保険が使える歯科治療と使えない歯科治療
保険が使える歯科治療は、病気の治療や症状の改善を目的としたものです。
たとえば――
□虫歯治療(削る・詰める・被せる)
□歯周病治療(歯石取りや歯ぐきの炎症治療)
□知覚過敏の処置
などがこれにあたります。
一方で、次のような治療は見た目の改善や美容目的とみなされるため、保険がききません。
□歯を白くするホワイトニング
□インプラント治療
□歯列矯正
■ 歯列矯正が「保険適用外」になる理由
歯列矯正は、「噛み合わせを整える」「歯並びを美しくする」といった目的で行われます。
このうち、後者の“見た目を整える”という点が、保険の対象から外れる理由です。
厚生労働省の考え方としては、歯並びが悪い状態は「病気」ではなく「美容的な問題」とされています。
そのため、たとえ見た目のコンプレックスや噛みにくさがあっても、“命に関わる病気ではない”=保険対象外と判断されるのです。
とはいえ、実際には歯並びの悪さが虫歯や歯周病のリスクを高めたり、顎関節に負担をかけたりすることもあります。
見た目だけでなく、お口全体の健康を守るための治療という側面もあるのですが、現行制度ではまだ「自由診療」として扱われています。
■ 保険で矯正ができるケースもある
例外として、矯正治療でも保険が使えるケースがあります。
次のような場合です。
1.顎の骨に異常があり、手術を伴う顎変形症(がくへんけいしょう)
→ 受け口や重度の出っ歯、開咬(前歯が噛み合わない)など、外科手術が必要な場合です。
2.国が定めた先天性疾患がある場合
→ たとえば「唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)」や「ダウン症候群」など、歯並びの異常を伴う先天性の病気です。
3.生まれつき永久歯が6本以上足りない場合
→ 2013年から保険適用の対象となりました。
これらに当てはまる場合は、「病気や先天的な異常による機能障害」として認められるため、保険で治療を受けることができます。
■ 保険適用で矯正を受けるには条件もある
ただし、保険が使えるからといって、どこの歯科医院でも矯正できるわけではありません。
治療は国が指定した医療機関で行う必要があります。
また、顎変形症の場合は「顎口腔機能診断施設」と呼ばれる特別な認定を受けた病院で治療を行わなければなりません。
さらに、使用できる矯正装置も限られており、マウスピース矯正や裏側矯正など審美的な矯正方法は保険適用外となります。
■ まとめ
矯正治療が保険適用外なのは、
「病気の治療ではなく、見た目を整える目的とされているため」です。
実際には、歯並びが悪いと虫歯・歯周病・顎関節症などの原因にもなり得るため、
見た目以上に健康維持のための大切な治療といえるでしょう。
矯正は確かに費用がかかりますが、医療費控除を利用すれば、一部が還付されることもあります。
稲沢矯正歯科クリニックでは、分割払いや定額プランを導入しています。
まずは気軽に相談してみてくださいね。









