家事や仕事、ゲームなどに集中している際、いつの間にか歯を食いしばったり、顎が緊張していることはありませんか?
実は、このように一見無害に思える習慣でも、たとえその力が弱くても、歯に対してダメージを与える可能性があります。
今回は、歯を合わせる癖についてお話ししていきます。
目次
歯を合わせる癖について
歯を接触させる癖は、歯列接触癖(TCH:Tooth Contacting Habit)と呼ばれています。就寝中の歯ぎしりや、強い力での食いしばりは、歯に対するダメージを引き起こすことが広く知られています。このような行為は、長時間にわたって強い力が加わるため、歯にとって有害であることは容易に理解できます。さらに、これらの行為が繰り返されることで、歯だけでなく顎関節や筋肉、さらには全身の筋肉にも影響を及ぼす可能性があります。しかし、強い力をかけていない場合でも、上下の歯を軽く合わせる癖があると、それが歯や体にとって良くない影響を与えることが明らかになっています。
TCHが起こりやすい状況
TCHは、特定の活動に没頭している際に発生しやすいとされています。例えば、オフィスでのデスクワークや家庭での家事、スマートフォンの画面を見ている時、ゲームに熱中している時、または読書をしている時などに見られることが多いです。この現象は無意識のうちに起こるため、自分自身では気づかないことが多く、「自分はそのようなことをしていない」と考える人もいるかもしれませんが、実際には多くの人が経験しているとされています。
TCHが及ぼす影響
TCHによって引き起こされる可能性のある影響には、以下のようなものがあります。
・歯に違和感がある
・知覚過敏
・歯に痛みを感じる
・顎関節が痛む
・顎関節の雑音
・開口障害
・首や肩が痛む
・頭痛
これらの症状が報告されています。また、歯が接触するたびに唾液が分泌されるため、唾液を飲み込む回数が増加し、その際に空気を一緒に飲み込むことから、ゲップやおならが頻繁に出ることもあるとされています。さらに、TCHは夜間の歯ぎしりを引き起こす可能性があり、その結果、口腔に対するさらなる悪影響が懸念されます。
TCHへの対処法
歯は本来、食事や会話を行う際以外には接触すべきではなく、1日に歯を合わせることが許される時間は約20分程度とされています。そのため、必要のない時にはできるだけ歯を合わせないように心掛けることが重要ですが、ストレスの多い環境では無意識にTCHが発生しやすくなります。TCHは無意識的に起こるため、初めのうちはコントロールが難しいかもしれません。
もしTCHに心当たりがある方は、以下の方法を試してみることをお勧めします。
・「歯を離す」ことを意識的に行う。
・「歯を合わせない」といった内容のメモや付箋を、よく目にする場所に貼り、頻繁に意識できるようにする。
最初はこの方法で意識的に歯を合わせないように努めていただきますが、これが習慣化されると自然とTCHが起こりにくくなりますので、心当たりのある方はぜひ実践してみてください。