みなさん矯正治療楽しんでますか?
こんにちは。稲沢 下津宮西町の稲沢矯正歯科クリニック、院長の吉廻 守(よしざこ まもる)です。
歯科矯正では、歯を動かすためにさまざまな装置を用いて治療を行います。歯を動かすためのワイヤー装置(ブラケット)やマウスピースに加え、必要に応じてアンカースクリューなどの補助的装置を用い、治療を進めていきます。
今回は歯科矯正で用いる「アンカースクリュー」についてのご説明です。
目次
歯科矯正用のアンカースクリューとは
小さなネジをあごの骨に埋め込みます
歯科矯正用のアンカースクリューとは、歯を動かすための補助的装置です。スクリューは小さなネジのような形で、ネジをあごの骨(歯槽骨)に埋め込んで使用します。
歯槽骨に埋め込んだネジは歯を動かす固定源としてイカリ(アンカー)の役割を果たすため、アンカースクリューという名前で呼ばれています。
アンカースクリューのメリット
アンカースクリューを用いた治療では、歯槽骨に埋め込んだアンカーを固定源として、矯正用ゴムやシリコン製のパワーチェーンをネジに掛けて歯を動かします。
アンカースクリューを使うことにより、以下の歯の動きを効率的に行えます。
・歯を歯ぐき側に押し下げる「圧下(あっか)」
・前歯を後ろ側に引っ張る「牽引(けんいん)」
・奥歯を後ろ側に移動する「遠心移動(えんしんいどう)」
など
アンカースクリューを用いるメリット
1.矯正装置だけではむずかしい歯の動きを効率的に行える
2.アンカースクリューを使うことで開咬などの難症例も治療しやすくなる(治療の幅が広がる)
3.ヘッドギアを使う場合と比べて患者さんにかかる肉体的負担・精神的負担を減らせる
アンカースクリューが登場する前は、歯の圧下や牽引を行いたい場合には主に「ヘッドギア」という頭にかぶる装置を使って歯を動かしていました。ヘッドギア自体は歯を効率的に動かせる良い装置なのですが、1日10時間以上の装着が必要でなおかつ装置も大きくて目立つため、患者さんの肉体的負担や精神的負担(ジロジロ見られる)がある点がデメリットでした。
その後、2000年代後半になってシンプルな構造のアンカースクリューが登場し、ヘッドギアを使わずにアンカースクリューで歯の圧下や牽引を行えるようになりました。アンカースクリューにより開咬などの難症例も治療がしやすくなり、矯正治療で対応できる症例の幅が広がったのです。
アンカースクリューの治療の流れ
アンカースクリューを用いた矯正では、以下の流れで治療を進めていきます。アンカースクリューの大きさは直径1.4mm、長さ6mm程度と小さく、チタンで出来ています。チタンは金属アレルギーを起こしにくく(※)、身体にもやさしい安全性の高い素材です。
(※)チタンは金属アレルギーを起こしにくい金属ですが、
ごくまれにチタンが原因で金属アレルギーを起こすケースがあります。
アンカースクリューの治療(埋め込み処置)の流れ
①あごの骨や歯をレントゲン・CTで撮影し、アンカースクリューを埋め込む位置を確認します。
②局所麻酔をしてアンカースクリューを所定の位置に埋め込みます。
・処置にかかる時間は5~10分程度です。
・麻酔をしているため、痛みはあまり感じません(骨には痛覚がないため)。
③アンカースクリューがしっかり埋め込まれたことを確認出来たら、スクリューを固定源にしてゴムやパワーチェーンをかけ、歯を動かしていきます。通常、スクリューの埋め込から2~3週間程度経った後にゴムかけを行いますが、あごの骨や歯ぐきの状態が安定していれば埋め込んですぐにゴムかけをする場合もあります。
–アンカースクリュー治療が終わった後–
・アンカースクリューを用いて歯を動かし、スクリューが不要になった後はスクリューを抜き取る処置を行います。
・抜き取るときはあまり痛みは感じません。
・抜き取った箇所の歯ぐきの傷は1週間程度でふさがります。あごの骨(歯槽骨)に出来た小さなスクリューの穴は1ヶ月程度で再生し修復されます。
歯科矯正用アンカースクリューに関するQ&A
Q.アンカースクリューの埋め込みは痛いですか?
A.局所麻酔をするため、埋め込みではあまり痛みを感じません。小さなネジなので出血も少ないです。
Q.アンカースクリューを埋め込んだ後は腫れたり痛みますか?
A.小さなネジのため埋め込み後に患部が腫れたり痛むことはほとんどありません(※)。ただし、歯ぐきからあごの骨に埋め込み処置を行いますので、術後には痛み止めと感染症予防のための抗生物質を処方します。
(※)患者さんや歯ぐきの状態によっては埋め込み後、
2~3日程度患部が腫れたり多少の痛みを感じる場合があります。
Q.アンカースクリューを抜くときは痛いですか?
A.小さなネジのため、アンカースクリューを抜くときにはあまり痛みは感じません。抜いたあとの歯ぐきの傷は1週間程度でふさがります。あごの骨は1ヶ月程度で再生して修復されます。
Q.アンカースクリュー埋め込み後の注意点について教えてください
A.アンカースクリューを埋め込んだ当日は麻酔が切れるまで飲食はおひかえください。麻酔が切れたら飲食OKです。当日は硬い物や繊維質が多い物(スクリューや矯正装置にひっかかりやすいため)は避け、やわらかい食べ物を摂るようにしてください。腫れや痛みがなければ埋め込み翌日からいつもどおりの食事に戻して大丈夫です。ただし、患部が腫れたり痛んでいる場合にはやわらかい食べ物にして、患部が安定するまで様子を見てください。
Q.アンカースクリュー埋め込み後は違和感を感じますか?
A.最初のうちは違和感を感じることがありますが、すぐに慣れます。日常生活に支障が出るほどの違和感を感じるケースはほとんどありません。
Q.アンカースクリューは目立ちますか?
A.ネジが小さく、奥歯のあごに埋め入れることが多いため、ほとんど目立ちません。
歯並びのお悩みはお気軽にご相談ください
歯科矯正用のアンカースクリューは簡単な埋め込み処置で効率的に歯を動かせます。矯正装置に加えてアンカースクリューを使うことで治療期間の短縮につながり、開咬などの難症例も治しやすくなります。
アンカースクリューは埋め込み時の痛みを心配される方が多いのですが、埋め込みの際は局所麻酔をしますので患者さんが思っているよりは痛みは感じません。ご安心ください。
稲沢矯正歯科では歯科矯正用アンカースクリューをはじめ、さまざまな装置を用いた矯正治療に対応しています。歯並びや歯の見た目でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。